【連載】もし遺伝病があると言われたら?結婚・出産を諦めますか?2人の絆

H_main「球脊髄性筋萎縮症(きゅうせきずいせいきんいしゅくしょう=SBMA)」という病気をご存知ですか。この病気は国から難病指定されており、手足の筋肉が萎縮したり、顔や舌の筋肉が萎縮する病気です。日本全国では2,000~3,000人くらいの患者さんがいるものと言われています。そして、私は、この病気の保因者です。今回はそんな病気の遺伝子を持つ女性の結婚、出産への壁についてまとめたお話です。

両親からの難病の告白

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自分の父が「球脊髄性筋萎縮症」という難病にかかっていると知ったのは20歳前後の時。
当時両親から話を聞いたときには平静を装いましたが、内心とてもショックでした。
父の病気のことも心配でしたが、何よりもこの病気は遺伝するものであり、自分が結婚して子どもを産むことになったときに遺伝の可能性が1/2ととても高いことが一番ショックでした。

ただし幸運だったのは自分が女であるということです。なぜならこの病気の特性上、女性は遺伝子を持つことがあっても発症することはないからです。

少し難しい説明になりますが、この病気はとても特質で、この病気をもつ男性の子供が「男の子」の場合、病気は発症しません。
子供が「女の子」の場合は、100%異常遺伝子の保因者となります。保因者というのは、発症こそしませんが、遺伝子変異をもっているということです。これが私です。
そしてこの病気のもっとも特質なのは、難病を持っている人の孫の代、つまり、私の子供です。
私から生まれた男の子は1/2の確率で病気になり、女の子の1/2は保因者になります。

しかし、この病気についてふとしたときに悩むことはありましたが、この時期はまだ結婚について真剣に考える年齢ではなかったため、そこまで深刻に思いつめることはありませんでした。

パートナーへの告白、そして結婚

父の病気の告白を受けてから6年後。結婚したいと思う男性に出会い、自分の遺伝病について告白しました。当時プロポーズも受けていないのにも関わらず、付き合って初期の頃に病気のことを告白しました。こんな早いタイミングで話したのは、お互いのためにも別れるなら早いほうがいいと思ったのもありますが、勝手ながら彼なら受け入れてくれるだろうと思ったからです。幸いにも彼は私の病気について受け入れてくれ、その後プロポーズを受け、結婚することが決まりました。
この病気によって結婚破棄になったというネットの情報もあったので、私が彼に出会えたことはとても幸運だったと思っています。

不確定な情報に振り回される日々

プロポーズを受け、更に自分の病気について調べ始めました。ですが、肝心の子供への遺伝の可能性は本やインターネットでは情報が少なく、なおかつ不正確な情報も多かったのです。そのため様々な情報に振り回され、非常に不安定な日々を送りました。

通常であればプロポーズを受け、ウキウキと楽しい気分になるはずが、この時期だけは本当に辛く、自分は子どもを産んではいけないのかと、女として価値がないのかとひどく辛い日々を送りました。

そのときの私を支えてくれたのが彼です。出産について調べるのも、彼の両親への病気の説明に関しても主体的に動いてくれ、こんなにも頼りになる彼がいることが本当に幸せでした。このときばかりは病気を持っていなかったら、こんなに大切にされているなんて気づかなかったかもしれない、と病気に感謝しました。

現在私がアクションしようとしていること

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現在私たち夫婦は海外医療を利用して、遺伝子検査と着床前診断を受けることを考えています。日本でも着床前診断が行われていますが、着床前診断を受けられるのはいくつかの条件を満たさなければならず、私たち夫婦はその対象になりません。

海外医療を利用する方法はとても高額になるため、普通に産む事も考えましたが、それは今のところ考えていません。普通に産むと考えたときに、

  • 1/2の確率で難病を持った子が生まれたとき、いつその病気の告白しなければならないのか
  • 病気を告白したときに子供に「なぜ私を産んだの?」なんて言われたら
  • 私のような辛い思いをされたら

なんて様々なことを考えたら、私自身が耐えられないと思ったからです。結局は自分が責められるのが嫌なだけとも思いますが、まだ見ぬ子の健康を願う気持ちは嘘ではなく、それを望むことは自然なことで、それが叶うのであればどんなに高額であっても頑張りたいと思っています。
そのため今は私たち夫婦のその気持ちを大切にし、遺伝子検査と着床前診断を受けられる海外を利用しての出産を考えています。

現在不妊治療に対しての制度は整いつつありますが、難病を持っている人に対しての制度は整っているとは言いがたい状態です。
そういった状態の中でどのような選択をするかは夫婦それぞれの価値観に委ねられますが、私たち夫婦は子供には健康に生まれてきて欲しいという思いから海外医療を利用しての体外受精、遺伝子検査で出産できればと考えています。

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ペンネーム:フジワラ メグミ
Web制作会社に勤務ののち、ソフトウェア会社のWeb制作部門に3年間勤務し、結婚を機に退職。現在はフリーランスとして活躍中。