【連載】「未来のお父さんへ」体外受精で生まれた私が伝えたいメッセージ

0020歳になる頃でしょうか。私はある日突然、母から「体外受精」によって産まれたということを知らされました。それには5年という多大な時間と決して少なくないお金がかかっているという事実、そして父が協力的でなかったという事実、治療の過程は孤独と痛みと、子どもを授かった人に対する嫉妬との闘いであったこと…。 それらの話を聞いた後に感じた自分の想いを、未来のお父さん・お母さんに心から届けたいと思います。

私が産まれるまでのこと・母からの告白

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「これから話すことは、よその誰にも、それとお父さんにも言わないでね」
「どうしたの?急に」
「あなたももう大人になったし、知っておいても良いかと思って・・・」
珍しく改まった様子の母が、何を言い出すかと思ったら、実は私が「体外受精」で産まれたのよ、という話だったのです。
その言葉の意味するところを私はすぐには理解できず、母の覚悟を決めたような表情と話題の重みが不釣合いだとさえ思いました。ただ、その後に続く母の告白は、当時弱冠20歳の私には想像し得なかった壮絶な内容でした。

絶望から始まった過酷な不妊治療

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結婚して2年が経った頃、母の脳裏に「不妊」の文字が過ぎりました。嫌な予感というのは何故か必ず的中するものです。精密検査をすると、案の定、母の身体は子どもができない状態になっていました。卵管が癒着していたのです。

「もう諦めた方が良いかもしれません。」

医師から発せられたあまりにも重すぎる言葉を聞いたとき、母は1人でした。その言葉を受け止めきれず、絶望のあまり目の前が真っ暗になり、その場で気を失ったそうです。それでも母は諦めることができませんでした。父の転勤先でとある有名な医師に出会い、仕事を辞めて治療に専念することを決意します。

知り合いが1人もいない土地で始まった不妊治療は、過酷なものでした。毎日のようにホルモン注射をし、そのせいでもう注射針を刺すことのできる箇所が無くなるほど体中あざだらけになっていたそうです。ただ、より深刻な傷を負ったのは、身体ではなく心でした。

「1人ぼっちだった」孤独と痛みと、嫉妬との闘い

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「誰かに相談はしなかったの?」
「恥ずかしくてできるわけないでしょ」
「・・・お父さんにも??」
「うん、ほとんど協力してくれなかったわ」

母は孤独の中にいました。ただでさえ、人に言い難い話題を、見知らぬ土地で誰かに相談することなんて、なおさらできません。父は、母の責任であるという意識があったせいか、治療に消極的だったといいます。恥ずかしいという気持ちもあったのかもしれません。成功するかも分からない治療に、決して少なくない時間とお金を投じるわけですから、一家の大黒柱としては抵抗感もあったのでしょう。

「病院で悩みを共有できるお友達はできなかったの?」
「同じ境遇の患者さんはたくさんいたよ。でも子どもができると、本当に嬉しそうな、でも少し申し訳なさそうな顔をして、私を置いて去っていくの。大丈夫、きっとうまくいくから、なんて言葉をかけてくれたけど、何の救いにもならなかった。」

父の協力が得られぬ間にも、病院で励まし合っていた患者仲間が子どもを授かり、1人また1人と病院から去っていきます。母の心に生まれた焦りと嫉妬と悲しみは、想像に難くありません。今でも年末になると母はふさぎ込みがちになります。毎年年賀状で出産報告が送られてきたときの暗い記憶が、今になっても思い出されるそうです。

それでも母はそういった感情と向き合い続け、5年の歳月を経て私を授かりました。そのときの幸せときたら!それだけ望んだ末に生まれた子どもですから、両親は私をそれはそれは大切に育ててくれました。あまりに過保護ではないかと疑問に思ったことも少なくありませんでしたが、この話を聞いてからは、全て納得しました。そんな過去があったとは知りませんでした。その話を聞いた今、これから一生かけて恩返ししていきたいなと思っています。

未来の子どもを代表して、未来のお父さんたちに伝えたいこと

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「お父さんは頑張って治療費を稼いでくれたけど、こうなった(不妊になった)のは全部私の責任だと思っているし、子どもが生まれるまでは子どもなんて要らないっていうスタンスだったの。本当に寂しかったし、本当に辛かった。」

最後まで諦めず私を産んでくれた母にはもちろん、治療費を捻出するために一生懸命働いてくれた父にも、私は心から感謝しています。でも父には、もう少し母の心を支えてあげてほしかったなと思うのです。どうして検査にすら協力してくれなかったのか?、どうして優しい言葉の1つもかけてあげなかったのか?、母の痛みを思うと、正直怒りがこみ上げてきます・・・。

今でこそ、不妊には男性側にも原因があることが浸透し始めていますが、少し前までは女性側に原因があるものだとばかり考えられていました。父もその一人でした。実際は父にも原因があったのですが、当時は正しい知識に欠けていたために、どうしても協力しようという気にはなれなかったのでしょう。しかし、自分に責任がなければ男は何もしなくてよいのでしょうか。子どもというのは夫婦が協力しなければ生まれないのに。

もし同じ状況に置かれていて、当時の私の父のような想いを抱えている方がいらっしゃれば、一緒に子どもをつくりたいという態度を、奥さんに示してあげてください。奥さんが悩みを共有できるのはあなただけなのですから。もし思うような結果がでなかったときは、その痛みを分かち合い、上手くいったときは、共に喜んであげてください。

治療の経過によっては、奥様の心が死んでしまう前に、引き返す勇気を持つことも重要です。それは妥協や諦めといったネガティブなものではなく、二人で生きていくというポジティブな選択なのですから。

未来のお父さんとお母さんが向き合う妊活が、優しさと勇気に溢れた素敵なものになることを祈って。

夫も子どももいない分際の私が、真剣に夫婦のことや子どものことを考えるきっかけとなった母からの告白。それは私が生まれるまでの間、母が不妊治療に苦しんでいたというショッキングな内容でした。本人に代わって娘である私がその体験を赤裸々に公開することで、母と同じように苦しんでいる人が、希望や勇気を持ってくれたら嬉しいです。

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Written by K.Y.
都内の大学に通う大学生。普段は人材系のライターのアルバイトをしている。好きなものは日本酒と梅水晶。

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