「私、産めるのかな?」出産適齢期の女性へ・コミックエッセイスト小林裕美子さん

interview小林さん出産適齢期の女性をテーマに書かれたコミックエッセイ「私、産めるのかな」や「産まなくてもいいですか?」など話題の本をご存知でしょうか?著者である漫画家の小林 裕美子さん。ご自身も実は不妊治療を経験されています。「妊活は1人だとどうしてものめり込みやすいので、ストッパーとしての男性のサポートが必要不可欠。」とインタビューで語って下さいました。今回は、小林さんが妊活や出産をテーマとしたコミックエッセイをなぜ書こうと思ったのか、実際にご自身が妊活を行った時の心境やその葛藤、またこれから妊活を考える男性、女性への応援メッセージをいただいてきました!

「私、産めるのかな」が生まれたきっかけ・妊活に関心を持ってくれた編集者との出会い

main小林さん

__小林さん、今回はよろしくお願いします。いきなりですが、先ほど見せていただいたコミックエッセイ「私、産めるのかな」や「産まなくていいですか?」はどういったきっかけで出版されたんですか?

はい、こちらこそ宜しくお願いします。まず「私、産めるのかな」はたまたま編集の方に「小林さん、卵子凍結や不妊治療とか関心がありますか?」って打ち合わせの時に聞かれたのがきっかけなんです。打ち合わせ当時、私は39歳でした。結婚はしていましが、私も子供が居なかったので「不妊治療」のことを考え始めていたんです。そんな矢先ということもあり、「あります!あります!私も興味あります!!」って意気投合したんですよ(笑)

__そうだったんですね!ちなみに「産まなくてもいいですか?」の方はどんな背景があったのでしょうか?

こちらについては「結婚してすぐは子供を欲しがらない夫婦もいる」ということを世間に伝えたかったというのが大きいですかね。私も結婚をした当初は、子供については「今はまだ・・・」というスタンスでした。それは仕事が楽しく、自分のことを優先したいという気持ちが大きかったからです。なので「女性は全員が母性本能を持っていて、かつ、産むことを望んでいる訳ではない」という思いを綴ったのがこのエッセイです。色々な女性がいて、それぞれの人が様々な思いを抱えていることを伝えたかったんです。

__小林さんのエッセイは妊活・出産を取り囲む様々な女性の立場から書かれているんですね。様々な人から反響があったのではないですか?

そうですね。「私、産めるのかな」の方では妊活を始めようとしている女性から「妊活に対する不安を知ることができ、心構えを作ることができました!」「養子縁組など産む以外の選択肢を考えるきっかけになりました」と言っていただけました。中には「子供が欲しくてたまらない時に子連れの家族を見ると無意識のうちに『嫉妬している自分』を自覚することができるようになりました」というコメントもありました。子供を切望するからこそ、誰しもが抱える可能性のある感情なのかなって私は思います。「産まなくてもいいですか?」の方は、結婚していても子供がほしいと思えない夫婦や独身で仕事をバリバリこなしている方から「そうなんだよね!」って声が寄せられました。

本格的に妊活と向き合うきっかけは執筆のための取材だった!

02小林さん

__先ほど小林さんも妊活に関心があるというお話でしたが、実際に不妊治療等の経験はされているのでしょうか?

はい、私も39歳頃に不妊治療の経験があります。ちょうど「私、産めるのかな」の企画が立ち上がったころですかね。振り返ってみると本格的な不妊治療に至るまでには、何度か産婦人科を受診しては、だんだん足が遠のき・・・の繰り返しでした(笑)

__そうだったんですね。実際に不妊治療を行おうと思ったきっかけは何だったのですか?

きっかけは「私、産めるのかな」の取材で訪問した凍結卵子を行うクリニックでの説明会です。その説明会で「40歳を過ぎた時に出産の確率が大きく低下し、健康な子供を産める可能性も変化してくる」ことを先生から強く言われました。話を聞いた時に「40歳までには子供を産みたい!」って強く思っている自分を自覚したんですよね。30代での妊娠・出産は余裕があると思っていました。ですが40代に近づくにつれ、いつまでもそうは言ってられないんだよねって。さらに私の背中を押してくれたのは「健康な子供を産みたい」という思いです。その気持ちが「私に残されたのは治療しかない!」と踏ん切りをつけてくれました。

__確かにクリニックではそういった話をする先生が多いですよね。

そうなんですよね。これ以外にも体外受精、養子縁組を経験されている方の話にも影響を受けました。今回取材した養子縁組によって子供を授かった方たちは、ほとんどが体外受精の経験者でした。その方たちの話を聞く中でひしひしと感じたのは「健康な子供を産むことは、結構大変なんだな」ってことです。取材をした人たちの中には死産や流産を経験された方、中には子供を産めない体質の方もいました。そういった方たちの話を聞けば聞くほど、「子供は誰でも産めるわけではない。子供を産むことイコール当たり前ではないんだ。自分が考えているほど簡単なことではないんだ。」と強く自分の中で感じるようになっていきました。

治療期間中は旦那さんがストッパー役として小林さんをサポート

03小林さん

__ここで小林さんが行われた妊活や不妊治療について少し教えてもらってもいいですか?

先ほども少し触れましたが、私が不妊治療に本格的に取り組んだのは39歳の時です。その時には体外受精を何回か行いました。無事2回目で成功したということもあり、正直言うと「深く悩んでいたという方ではない」かもしれません。

__不妊治療をしている時に大変だったなぁという経験は何かありましたか?

私が大変だったのは治療というよりか、治療のためにお医者さんに会うまでの待合時間でした。不妊治療の場合にはタイミングが重要となってくるので、「◯月◯日に来てください!」と指定された日に絶対に行かないといけません。仕事があってもその日行われる数分の治療のために、2〜3時間病院の待合室で待たないといけないのは相当キツかったです。先が見えないで不安になる自分と一人でずっと向き合うなんてこともよくありました。それ以外には、治療をして結果が分かるまでの数週間ですかね。自分との葛藤もあり本当にキツかったです。

__小林さんは本格的に不妊治療に取り組まれる前には、どのような経験がありましたか。

私の場合、妊活や治療の選択が人生の節目ごとで行ってきたという印象です。私は27歳で結婚をしました。そのころは仕事が楽しかったということもあり4〜5年間は「子供はまだいいかな」と考えていました。30代も中頃になってくると友人や親戚がどんどん子供を産み、育てている姿を見て「私たちもそろそろ子供がほしいかも・・・」と思い始めました。そのころには夫婦でブライダルチェックを受けに行ったりも。結果は問題無しだったので、旦那とも相談をして「我が家は自然妊娠を目指して気軽に行こう!」と決めました。同じぐらいの時期に両親からは「子供はまだなのかしら?」と言われるようになりましたかね。

__そこからはどうなったのでしょうか?

自然妊娠を目指していましたが中々妊娠をしないので、数年経過したのちに別の産婦人科を受診することにしました。診断後、「2年で自然に子供ができないならそれは不妊症、治療をしていきましょう!」と先生に言われましたが正直、乗り気ではありませんでした。

__乗り気ではなかったのに何か理由があったのですか?

それはですね、実は、不妊治療の体験者のお話やメディアの情報を知り「治療に時間がかかりそうだし、大変そう」、「金銭的にも精神的にもつらそう」といった印象を私が持っていたからです。正直、自分には続けられるのかなって。辛いだけではないのかなって。同時に、「私たち、ここまで辛い思いをしてまで『本当に』子供がほしいのかな?」って夫婦で悩むようになりました。旦那も「そこまでしなくても」という人だったこともあり、そうこう悩んでいるうちに自然と仕事の方に逃げてしまったというのが正直なところですかね。産婦人科からもだんだんと足は遠のいていきました。

そういったこれまでの経験があったにも関わらず、不妊治療を継続できたのは何故だったのでしょうか?

私が「やっぱり子供がほしい」という気持ちが強かったということもありますが、旦那が協力的かつ冷静で、私が夢中になりすぎないようにストッパーとして側で見守っていてくれたことではないでしょうか。

__そうだったのですね。旦那さんから具体的になにかを言われたりしたのでしょうか?

最初の検診を一緒に受けた後、「あまり不妊治療にめり込みすぎないようにしてほしい」とは言われました。私としては「のめり込まない」と自覚していたのですが、側から見ているとどうも違ったようです(笑)

男性には精神的な理解を、女性には不妊治療の知識を得てもらいたい

04小林さん

__最後に、これから妊活をはじめるカップルにメッセージをお願いできますか?

男性には「大変なのは女性なので精神的にどのよう思いで取り組んでいるのか?」をぜひ理解してもらいたい」です女性のサポートをすることはもちろん、妊活に一人でのめり込まないようにストッパーとしても働いてもらいたいです。夫婦で妊活に取り組んでいく中で、女性に一番近いところから客観的に見れているのは旦那ですよね。そんな旦那だからこそ、治療に限界を感じた時には「やめようよ」と言えるのではないかなと思います。中々クリニックの先生や周りからはそういったことは言えませんからね。そのため妊活は「二人の問題である」ということを常に意識してほしいです。女性の問題だからと、ほおっておいたり、丸投げしたりしている男性がいますが、それは絶対にダメじゃないですかね。

__女性に対しても何かメッセージがありましたらお願いできますか?

女性に対しては「もっと妊活や不妊治療、出産に対する知識を持ってほしい」と感じています。ここ数年40歳を過ぎてからの出産をしている人が多いことから、「自分なら40歳を過ぎても産める!」と思っている人が多いように感じます。私と同じように「仕事が楽しいから、出産はもう少し後かな」って考えている人も多いです。ただみんながみんなそれに当てはまるわけではないですし、治療となった時に「それと向き合えるか?」という心の葛藤や覚悟というのも必要となります。卵子を始めとする体の機能は年齢とともに着実に衰えていっています。そのため妊娠しにくくなることはもちろん、高齢出産による自身の体へのリスク、生まれてくる子供への影響についても私たちが自分で考え、判断をしないといけないんです。もしそうなった時に「自分がどう選択をするのか?」ということを私たちはいつも考えないといけません。そのためにはどうしても妊娠や治療に対する知識を深め、知らないといけないのではないでしょうか。

__妊活している夫婦を取り囲む方へのメッセージがありましたらお願いします。

夫婦には色んな形があります。結婚してすぐに子供がほしい夫婦もいれば、今はまだという夫婦もいます。中には「子供は作らない」と考えている夫婦だっています。周りの方には「結婚したから、次は子供ね!」など決めつけたり、これまでの考え方を押し付けたりしないでほしいなと思います。そのためには「夫婦が将来をどのように考えているのかを理解していくこと」が大切なのではないでしょうか。

__小林さん、ありがとうございました!
女性が直面する妊活を取り囲む問題やご自身の不妊治療の経験。小林のお話にあるように、周りも、自分も「子供は産まなければならない」と決め付けるということではないこと。「自分はどうありたいのか?」「あなたはどうしたいのか?」について、まずは自分自身に問うこと。そして「夫婦で向き合うこと」の大切さを感じました。その上で「やっぱり2人の子供がほしい」と思うからこそ一緒に家族になるという選択肢のために前を向いていけるのではないでしょうか。(famit編集部:おすぎ)


小林裕美子 漫画家・イラストレーター 美大卒業後、フリーの漫画家兼イラストレーターとして活躍。代表作には「私、産めるのかな」「産まなくてもいいですか?」といった出産、不妊治療に関わる女性目線で見たコミックエッセイがある。幼少期は実家の「サザエさん」にひたすらはまって読みふけっていた。http://ameblo.jp/kuromameusagi/

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