新成人1800人に配ったのは“妊活”本?? いいえ、文京区の本音とは・文京区

2016年の成人式で、東京都文京区の新たなニュースがテレビやネット、新聞で取り上げられました。その内容は、「新成人1800人に『妊活読本』を配布した」というもの。今回、文京区の担当者の渡邊さんにインタビューを行い、その本当の狙いや目的について聞いてきました。自治体が行うサポートの本音から、これからの妊活のありかたが見えてくるかもしれません。

正しい情報を届けたい!日本初の育休取得区長の想いがこもったプロジェクト

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___妊活のサポートを自治体が行うのは、まだ珍しい例だと思いますが、文京区のサポートの姿勢や想いをぜひお聞かせください。
はい、まずは平成25年度に文京区の成澤廣修区長が国の少子化プロジェクトの委員になったのが最初のきっかけですね。その時に区長は「ハッピーベイビープロジェクト」という名前の施策の骨子を発表しました。これは実は、妊活だけが目的ということではないんです。若い世代が将来直面することになる、結婚・妊娠・出産・育児について早く広く学んで欲しいというプロジェクトになります。実は成人式で配った冊子も、「妊活本」ではないんですよ。

___妊活だけが目的ではないのですね!どんなプロジェクトなのか、もう少し詳しくお聞きしてもいいでしょうか。
もちろんです。まず、このプロジェクトは「妊娠について、多くの人に正しい情報を届ける」という区長の想いからスタートしました。最近でこそ「女性は30代後半で妊娠しにくくなる」とニュースなどで取り上げられていますが、実はまだまだ30代近くになって初めて知る人がすごく多いようです。
10代、20代の時にそういったことをちゃんと学ぶ機会がないのが大きな原因のひとつで、就職して仕事を頑張って、さぁいざ30代後半、子どもが欲しい!と思った時にはじめて自分が妊娠できにくくなってしまっていると知る。そして「こんなことになるなんて知らなかった!」と後悔してしまうんですよね。文京区としては、こういった後悔をなくすため、正確な情報をきちんと知ってほしいという想いを込めてプロジェクトを進めています。知った上で妊娠しないことを本人が選んだのであれば、それを尊重していくことが大事ですからね。___なるほど。成人したばかりの若い頃は「妊娠」についてなんて全然意識してないですからね。なぜ区長はこういった考えを持つようになったのでしょうか。
実は、成澤区長は2010年に自治体の首長として初めて育児休暇を取得した経験があるくらい、元々「子育て」に積極的だったんです。最近、男性議員の育児休暇が話題になったことがありますが、区長自身は、初めての子どもにしっかり接する時間を持ちたい、という気持ちで休みを取ったと聞いていますので、結果として日本初であり、その後の取材は大変だったのではないか、と思いますね。

その育児の経験も含めて、この「ハッピーベイビープロジェクト」にもつながっています。この中には「応援団」という組織もあり、区単体ではなく専門家や企業にシンクタンクになってもらい、シナジーを発揮してもらうつもりで進めています。少子化対策への取り組みは、さまざまなステークホルダーが連携して進めるものですからね。
ちなみに、このプロジェクトの会議には、区長はほとんど出席していますよ。
発案だけでなく、プロジェクトの実行も区長の強い想いがあってこそなのです。

担当者も少子化について学び、ゼロから教育委員会などと幅広い連携を実現!

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__かなり先進的な取り組みですが、渡邊さんも元々この少子化の専門家だったのでしょうか?
いいえ、実はそれまで私は「障害・福祉」が専門領域だったのです。「少子化対策を検討しましょう」と言われても、当時の私には右も左も分からない状態でした。正直、未知の領域でしたね。ただ、担当となって少子化対策や子育て関連情報を学べば学ぶほど、その重要性を改めて強く感じていきました。
___これだけ大きなプロジェクトとなると、運営もかなり大変ですよね。しかも、効果がすぐ出るというものでもないですし。
そこについてはまさに「ハッピーベイビープロジェクト」の応援団に色々と助けてもらっています。応援団は、本プロジェクトに賛同いただいた様々な企業の方ですね。本当にありがたかったです。また、ちょうど同じタイミングで始まった国の交付金も活用しています。文京区としては交付金なしの一般財源だけでもやろうとは思っていましたが、活用する方がより大きな施策を行うことができますので。
もちろん、活用も決して簡単なものではなく、様々な条件を検討しながら進めましたね。特に、「先駆性」を求められる点は苦労しました。

___「先駆性」ですか?はい、実はこの交付金制度では、「次年度同じことをする場合は、交付金は交付されない」という制約があるのです。国の意図としては、「新しいチャレンジを応援して補助するよ」ということですね。
ただ、本プロジェクトは1年単位で結果がでるものではありません。継続が必要であり、プロジェクトとしても長期的に考えなければいけないという状況下で、どのように交付金を活用するかは何度も議論しました。交付金を利用するには毎年度、変化を加えなければいけない。ただ、妊活を含め、健康に関する情報や周知啓発の取り組みをそんなポンポンなにかを変えられるものでもない。この矛盾ですね。

最終的に、初年度は意識調査、啓発イベント、冊子の作成を実施しました。そのどれもが継続は可能ではあるものの、最初に大きく時間やコストがかかる内容ですね。冊子は作るのが大変ですが、翌年以降は増刷だけで済みます。
そして、その冊子も初年度から教育委員会と組んで、学習教材として区立中学3年生に配布するといった連携と工夫を行いました。

___区民のみなさんの声はどういったものでしたか?

正直、プロジェクト自体への声は、賛否両論でした。
意識調査についても、「区がこういったことを調査として聞くことが理解しがたい」という意見もありました。また、議会でも「情報提供だけではなく、具体的な支援も必要では」という声も出ましたね。ぶんきょうハッピーベイビープロジェクトの本来の目的は、「妊活調査」でも「不妊のサポート」でもなく「健康増進」。
いつまでも健康でいられることが大事であり、そのうちの一つに「妊活や不妊治療の情報」が含まれているのです。情報化社会の今日、妊活や不妊の情報を出しているサイトや医療機関、企業は多くあります。しかし、行政がきちんと情報を提供しているケースは思った以上に少ないです。
実際、このプロジェクトを始めたことによって「区としてちゃんと情報を出してくれるのはありがたい」という声もたくさんいただきましたね。「信頼性が高い」との声も。これからもその声に応えていきたいと感じています。

妊活の基本は健康から!!健康を支える文京区の想いと共に、担当者にも変化が

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___今後の施策を教えていただいてもよろしいでしょうか。
「健康」という観点で日頃の行動を少しでも変えていく取り組みや正確な知識の周知啓発をこれからも行っていく予定です。
区立中学生へのメッセージも継続的に出して行きますし、新たな企画も引き続き考えていきます。
成人式で配布したのも、妊活だけではなく、ライフ&キャリアデザインを自習できるブックです。なかなか難しいかもしれませんが、様々な情報を得ることの出来るワークブックとなっていますので、是非、活用してほしいですね。
妊活という切り口でいうと、23区では唯一の男性の不妊検査費助成制度を行うなどの施策に取組んでいます。
___女性向けの制度が多い中、男性向けにも行うのはとても新しいチャレンジですね!最後にメッセージをお願いします
人生において、健康をどう維持・向上させるかがとても大切です。
私たちは、目の前のやるべきことに追われてしまい、つい健康をおろそかにしがちです。
でも、妊娠も、キャリアもどちらも健康が基本なんですよね。もちろん、これは女性だけでなく男性にも当てはまります。どちらかのみが健康では意味がありません。
特に、妊活は男性にも「健康」が求められます。
5年後10年後に、誰と何をしてどんな生活をしたいか。自分自身の将来のためにも立ち止まって考えてみることが大切です。
人生は限られた時間と場所の中で何を取捨選択するかの連続ですが、より良い日常生活を送るために今できることをやりましょう!03
___ちなみに、渡邊さんはこのプロジェクトに携わってから8キロも体重が減ったそうですね!それほどまでに忙しいプロジェクトだったのでしょうか?
あ、いえいえ。やつれたとかではないです。単純に、健康を意識し始めた、というだけです。このプロジェクトに関わることで知識が格段に増え、
やはり自身の健康に対する意識も大きく変わりましたね。
「健康」は栄養、運動、睡眠の三つが大切と言われており、
中でも栄養や睡眠と異なり、運動が日常的に最も意識できるんです。それを隙間時間でどれだけ意識できるか。
「課のある8階のフロアまでエレベーターを使わず階段を使う」
「時間があれば最寄り駅の一駅前で降りて歩く」
やった方がいいとか知りながら、今まではできていなかったですね。毎日の健康を意識し、小さい行動を変えた結果、8キロ減となってあらわれました笑
ハッピーベイビープロジェクトも、区民の皆さんの意識を変えるきっかけになればいいなと願っています。
成人式での冊子配布や、中学校への啓蒙など、若い世代への呼びかけは区役所ならでは。民間企業ではできないことを、ぜひ行政として今後も取り組んでいただきたいですね。また、担当者自ら率先して意識と行動を変え、結果に結びついているのもとても素敵だと思いました。未来の自分たちのために知っておくべきこと、性別や年齢に関わらず、しっかり考えていきたいです。(famit編集部:おすぎ)

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文京区役所

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